ミシンを使い始めた頃、まっすぐ縫うのが思った以上に難しいと感じました。
布端に合わせて縫っているつもりなのに、気づくと少しずつずれていたり、ずれたのを直そうとして今度は反対側に曲がってしまったり。
今では特に意識せず縫えるようになりましたが、振り返ってみると、針板のラインを見ることだけではなく、座る位置や視線、布に添える手、縫う速度など、いくつか気をつけていることがあります。
この記事では、家庭用ミシンを18年使ってきた私が、まっすぐ縫うときに普段やっていることを紹介します。
といっても、多少曲がるくらいは気にしなくても大丈夫。
きれいに縫うことも大切ですが、まずはミシンを楽しむことが一番だと思っています。
最初は針板のラインを見る余裕がなかった
ミシンには、縫い代の目安になるラインが針板に入っています。
今はこのラインに布端を合わせて縫うことが多いのですが、ミシンを使い始めた頃は、針板のラインを見ながら縫うのがなかなかできませんでした。
そこで私が目印にしていたのが、押さえの端です。
布端を押さえの端に合わせて、その延長線上をたどるようにして縫っていました。
ただ、バッグ作りでは縫い代を10mm取りたいことが多かったので、布端を押さえの端に合わせた状態で10mmになるよう、針の位置を左にずらして調整していました。

慣れてきた今は針板のラインを見ることが多いですが、押さえの端をガイドにする方法も今でも使っています。
大事なのは「針板のラインを見なきゃ」と頑張ることより、まずは自分が見やすくて、布端を合わせやすい目印をひとつ決めることだと思います。
針元だけを見ず、少し先までぼんやり見る
まっすぐ縫おうとすると、つい針が落ちるところをじっと見てしまいます。
私も最初はそうだったのですが、今は針元だけを凝視するのではなく、少し先の布端までぼんやり見るようにしています。
針板のラインと布端がずれていかないか、進む方向を全体で見るような感じです。
針元だけを見ていると、ずれてから気づくことがあります。少し先まで見ていると、「このままだとずれそう」という段階で気づきやすく、少しずつ方向を修正できます。
ミシンの真正面に座る
視線と同じくらい意識しているのが、座る位置と姿勢です。
ミシンの真正面に座って、なるべく猫背にならないようにしています。
針元が気になると、つい顔を近づけてのぞき込みたくなりますが、それでは周りが見えにくくなります。
少し姿勢を起こして、針板や押さえ、布端、その少し先まで視野に入れる。
私はその方が、布がどちらへ進んでいるのか分かりやすく感じます。
布は押したり引いたりせず、軽く手を添える
まっすぐ縫おうとして、手で布の進む方向をコントロールしすぎると、かえって縫いにくくなります。
基本的に布を前へ送ってくれるのはミシンなので、私は手で押したり引っ張ったりはしていません。
感覚としては、「ミシンのお手伝いをする」くらいです。
右手は布端を持って、少しだけ軌道修正
改めて自分の手元を見てみると、右手は人差し指と中指で布を軽く挟み、親指を添えるように持っていました。
そのまま布を押して進ませるのではなく、布端がガイドからずれそうになったときに、少し方向を直すために使っています。

左手は布に添えて、重さを支える
左手は基本的に布に添えているだけです。
ただ、大きなものを縫うときは、ミシンの左側へ布がずり落ちて引っ張られないように、左手で布の重さを支えています。
私のミシンには大きな補助テーブルを付けていないので、バッグなど大きめのものを縫うときは、特に左側の布が落ちないように気をつけています。

速さよりも、一定の速度で縫う
まっすぐ縫うなら、ゆっくり縫った方がいいような気もします。
でも私は、速いか遅いかよりも、一定の速度で縫うことの方が大事だと感じています。
私はせっかちなこともあって、直線縫いはかなり速めです。
それでも、途中で急に速くなったり遅くなったりせず、自分が布の動きを追える速度で一定に進む方が、まっすぐ縫いやすいように思います。
縫い始めと縫い終わりは少しゆっくり
ずっと同じ速度というわけではありません。
縫い始めと縫い終わりは、布端から針が落ちないように少しゆっくり縫っています。
カーブも速度を落としますが、できるだけ途中で止まらず、布の向きを少しずつ変えながら進むようにしています。
速く縫う、ゆっくり縫うと決めるより、自分が布の動きを見ながら無理なく一定に縫える速度を見つけるのがいいと思います。
縫い始めは、布端ギリギリから始めない
ミシンを使い始めた頃は、布端からきっちり縫った方がいいと思って、端ギリギリに針を落としていました。
ところが、布をかんでしまったり、裏側で糸がぐちゃぐちゃになったりして、縫い始めからうまくいかないことがよくありました。
今は、布端より少し内側から縫い始めて、返し縫いで端まで戻るようにしています。
その方が縫い始めが安定して、そのまま直線にも入りやすくなりました。
縫い始めからきれいにしようと端ギリギリを狙うより、少し余裕を持って始める方が、私は縫いやすいです。
少しくらいずれたら、ゆるく戻す
どれだけ気をつけていても、縫っている途中でラインから少しずれることはあります。
そんなとき私は、急いで元のラインに戻そうとはしません。
何針かかけて、ゆるく元の位置へ戻します。
急に方向を変えると、そこだけ縫い目がカクッと曲がって、かえって目立ってしまいます。
もちろん、大きくずれ続けるのは困りますが、少しくらいならそれほどシビアにならなくても大丈夫です。
布によって、まっすぐ縫いやすさも違う
同じように縫っていても、布によってまっすぐ縫いやすさはかなり違います。
特に私が縫いにくいと感じるのは、サテンやナイロンのような薄くて滑りやすい布です。
布そのものが動きやすいうえに、ほつれてくると布端が分かりにくくなって、「縫い代どこ?」と迷子になりがちです。
ダブルガーゼも滑る布ではありませんが、柔らかくてほつれやすいため、私は布端から針が落ちやすく感じます。
ボアのように厚みや毛足のある布も、きれいに縫うには少しコツが必要です。
かわいい布を見つけると使いたくなりますが、ミシンに慣れるまでは、まずは扱いやすい布でまっすぐ縫う感覚をつかむ方が楽だと思います。
厚みのある部分で縫いにくい場合は、布の扱い方とは別の工夫が必要になることもあります。
→ #3「家庭用ミシンで厚手の布を縫うとき、私がやっていること」
多少曲がっても、気にしすぎない
初心者だった頃の自分に、まっすぐ縫うためのコツをひとつだけ教えるなら、「多少曲がっても気にしなくていい」と言うと思います。
ミシンを使い始めた頃は、縫い目が少し曲がっただけでも気になっていました。
でも、バッグや小物なら、少しくらい縫い目がずれてもちゃんと形になります。
今は、針元ばかりを見て力を入れて縫うより、ミシンの真正面に座って全体を見ながら、布が進むのを少し手伝うくらいの方が、まっすぐ縫いやすいと感じています。
まっすぐ縫うことも大切ですが、そればかり気にしてミシンが楽しくなくなってしまうのはもったいない。
細かいことは気にしすぎず、まずは作ることを楽しむ。
18年ミシンを使ってきた今は、それが一番だと思っています。



